浄土ヶ浜ビジターセンター舘下です。この日は、気温・湿度共に快適な指標を示しており、太陽の日差しも突き刺すような鋭さから身体を温めてくれる優しさに変わったおかげで、穏やかな一日となりました。
お客様を御台場展望台へご案内している時に、ナナカマドの実が赤く色づいているのを見つけました。周囲にもナナカマドの実は数多くありましたが、まだ緑色の実が見受けられたので、これから朱色に染まっていくことを期待しています。
さて、ナナカマドと言えば「七回竈にくべても燃え尽きない」という説が名前の由来として有名です。その他「七回焼くと良質の炭になる」「(食器にすると高耐久となるため)竈が七度駄目になるくらい使用できる」などの説が流布しています。
日本から離れますが、ナナカマドは北欧では魔除けとしてポピュラーな植物です。実を付ける前、花びらが5弁となっています。そして実についている筋も放射状に5本付いている事から、五芒星という図形に見立てられ破魔の力が授けられていると伝えられています。
そのため、ナナカマドを門の脇に植えたり、ナナカマドの木で作った杖は護符になる、という意味で重宝されていたそうです。
それ以外にも、北欧神話やケルト神話などにも多く登場する植物です。例えば北欧神話では、雷神トールが敵の魔法で河川の水が増水して溺れそうになったところをナナカマドの杖のお陰で難を逃れた……という逸話が残されています。この伝承が基になって、スウェーデンの人は造船した時には航海の安全を祈願して、必ずナナカマドの木を加えているそうです。
それ以外にも数多の伝承が記されていますが、ここで書き出すと際限なくなってしまうので……。いずれにしても、上記の事から北欧地域では「魔除け」となっており、日本では火災避け・落雷避けとされ、ご利益の為に神社でも植えられる木です。